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2017-06-22 21:30

その他

保護犬と殺処分の実態について調べてみました

保護犬
こんにちは、編集部の小枝です。
「保護犬」についてTV(志村どうぶつ園など)やニュースなどでよく目にする機会も多くなり、その実態も含め私なりに調べてみました。

保護犬とは
(当たり前のことを書かせて頂きますが、敢えて定義付け・前置きといたします)

保護犬とは飼い主の都合で捨てられてしまった犬や迷子になってしまいそのまま飼い主が見つからない迷い犬、その状況から時間がたち野良犬となってしまった野犬、ブリーダーが飼いきれなくなり保護団体に引き渡された犬など、いろいろな事情で施設に保護されている犬たちのことを指します。

保護犬の殺処分頭数について
昨今問題となっているのが、「保護=ずっと保護してくれる」わけではなく、今までの飼い主もしくは新たな飼い主が見つからなければ保健所で「殺処分」となってしまうこと。

保護期間については施設や自治体によってバラツキがあり、1日〜7日くらいが多いようです。

こちらは環境省にまとまったデータがありましたので、ご覧頂ければと思います。

環境省 犬・猫の引取り等の業務
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h27_2_2_1.pdf

環境省の統計資料によると、平成27年の保護犬頭数は46,649頭で、悲しいことにうち15,811頭が殺処分となっています。

また驚くことに、保護犬頭数は46,649頭のうち6,462頭は飼い主からの引き取り(飼い主の持ち込み)だということ。様々な事情があるというのはわかりますが、これが実態です。

その一方で、13,220頭は飼い主に返還されています。返還されるということは、飼い主とはぐれてしまっている「迷い犬」を飼い主が迎えに来たということ。

ざっとみてみると、飼い主都合による保護が約1割・迷い犬が約4割・飼い主不明な犬や野犬が約5割ということになります。

保護頭数、殺処分頭数の推移については、

平成16年 保護181,167件 引取25,297件(14%) 殺処分155,870件(86%)
平成27年 保護46,649件 引取29,637件(64%) 殺処分15,811件(34%)

となっており、著しい改善が見られます。
保護犬
日本各地に存在する各保護団体・組織の活動の成果と取れるかと思います。

(画像は「環境省:犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」より引用)
環境省:犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成27年度)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

最近でも小池都知事が「2019年までに殺処分ゼロ」を公言したり、茨城県が「犬猫殺処分ゼロ推進活動支援事業」を行っていたりと、年々行政の支援も多く見られるようになってきたのもその一要因と言えるはずです。

茨城県 犬猫殺処分ゼロ推進活動支援事業
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/seiei/kankyo/seiei/satsushobunn0project-shienn.html

都道府県別保護犬頭数
保護犬の頭数を都道府県別にみてみました。

環境省のデータ(2016年)によると、

茨城県:2,172頭
香川県:2,160頭
沖縄県:1,813頭
広島県:1,734頭
千葉県:1,656頭
鹿児島県:1,609頭
愛知県:1,530頭
熊本県:1,518頭
長崎県:1,267頭
山口県:1,250頭
福岡県:1,221頭
愛媛県:1,145頭
徳島県:1,144頭
埼玉県:1,130頭
群馬県:955頭
北海道:922頭
福島県:717頭
山梨県:703頭
岐阜県:662頭
長野県:643頭
三重県:637頭
宮城県:630頭
大分県:628頭
兵庫県:589頭
青森県:563頭
滋賀県:474頭
神奈川県:442頭
佐賀県:410頭
東京都:392頭
高知県:389頭
岡山県:368頭
静岡県:352頭
新潟県:340頭
和歌山県:305頭
岩手県:305頭
奈良県:238頭
山形県:227頭
大阪府:220頭
石川県:206頭
鳥取県:206頭
京都府:204頭
福井県:185頭
秋田県:182頭
島根県:165頭
富山県:131頭
となっています。

環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容状況(都道府県・指定都市・中核市)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h28_3_4_3.pdf

最も保護犬が多い県と少ない県の差は約2,000頭と、大きな差がありますね。

保護犬頭数が多いところは「野犬」や「外飼いの犬」の多さが比例しているようで、そこに住んでいる人たちに無責任な人が多いというわけではありません。

飼っている犬を手放す人たちは、保護団体に引き渡すのが一般的と思われがちですが、一昔前は保護団体自体が少なく、山奥に捨てに行く飼い主やブリーダーがあとをたたず、そこで犬たちが繁殖をして、野犬になるケースが多かったようです。

また、上位の都道府県を見ると温暖で過ごしやすく、繁殖しやすい場所が多いように思います。

保護犬を引き取る条件について
いざ保護犬を迎えようと思っても、譲渡条件は厳しく確認をしなくてはならない点がいくつかあります。

・賃貸住宅
・一人暮らし、または同棲中(未婚)
・犬の飼育をしたことがない
・ペット可住宅ではない
・60歳以上
・妊娠中または子供がいる家庭
・8時間以上の留守が多い
・先住犬が避妊、去勢手術をしていない

のいずれかに当てはまると引き取れない可能性が高くなります。
(上記条件は各自治体、民間団体の条件を一部集約したものです。各自治体、民間団体によって一部条件は異なりますので事前にご確認ください。)

もし条件をクリアしたとしても、ほとんどの場合、トライアル期間(約2週間ほど、本当に飼育ができているかのお試し期間)が設けられており、その期間中(もしくは期間を過ぎても)は成長過程がわかる写真を送ることや家庭訪問があったりします。

自治体の場合は、事前講習が必ずと言っていいほどあります。

命を預かるわけですからこれくらいは当たり前と思う人もいれば、条件が厳しすぎると思う人もいると思います。

また、どこで引き取れるかについては、インターネットで「犬 譲渡会 地域名」で検索してみると自治体や民間団体のHPがヒットするので、上から順番にそちらを確認するのが早いと思います。(里親サイトもいくつかありますので、そちらを見てみるのもありです。)

問い合わせて会いに行くか、譲渡会の開催日に実際行ってみることをおすすめします。

最近では動物病院で保護犬の譲渡活動をしている所も多くなってきているので、近くの動物病院に問い合わせをしてみるのもいいと思います。

ちょっとした余談ですが、当然ながら保護犬には血統証がありません(犬種や父母犬の体重も不明)。賃貸ですと、血統証の提出が必要な物件もあるので注意が必要です。ほとんどの場合は、医師の証明書で血統証と同様に扱ってくれます。(ペット飼育の契約書に体重制限がある場合、貸し主側の判断基準として必要だそうです)


保護犬の譲渡条件が厳しくなった理由
ここまで厳しくなった理由は明らかにされていませんが、過去に「里親放棄」や「里親詐欺」が発生したことが原因と考えられます。

保護犬の存在を知り引き取った人が「やはり犬の飼育は困難だった」と簡単に返しに来たり、最初から飼育をするつもりはなく、ストレス解消の虐待目的で引き取り、瀕死の状態で発見されたりするケースが過去にあったようです。

そうなってしまうと、犬は二度と人間を信用することができなくなり、心を閉ざしてしまい、新しい飼い主を見つけることも困難になってしまいます。

条件が厳しい理由は、傷ついたわんちゃんたちが再び傷を負わないように守っているといえるでしょう。

犬を飼う手段は、保護犬、ブリーダー、ペットショップ、方法はいくつかあります。

どれを選ぶかは、その人の自由だと思います。

ただ、自由ゆえの重たい責任があることを十分に理解、覚悟した上で、家族として愛犬を迎えてあげてください。

次回は、地域別の保護犬活動や譲渡会の開催などをまとめてみたいと思っております。(たとえば、東京都の譲渡会一覧など)



※TOPの画像は、先日取材させて頂きました「保護フレカフェ GUARDIAN」様の写真を使用させて頂いております。
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